架空の森

ろくなことなんて、書けるわけない。そんな日常。

君の意思をたべたい【ホワルバ再考 #2】

懐かしいと思った。 人との関わりを厭う主人公と、余命幾ばくもない、明るく積極的なヒロイン。主人公を連れまわすヒロインに、やれやれと付き合う主人公。ノベルゲーにはまっていたゼロ年代の終わりを思い出す。あるいは、一番多感だった中学生のころに読ん…

お盆につながる明日ぐらい

どうして僕たちは、発狂もせずに日曜の夜を過ごし、 月曜の朝に仕事へ向かうのだろう。 夕食を片付け、サプリ2錠を水で流し込む。 昨日から久々に触っている恋姫の萌将伝。 学生時代、あれほど泣きゲー・シナリオゲーを誉めそやしておきながら、 このシリー…

謀ったな!白泉社ァ!!!

友人との待ち合わせにはまだ早い。時間つぶしのために立ち寄った某書店。検索端末になんとなく「カハワライズミ」と打ち込んだのは神の思し召しか。 「えっ、『〜がある』シリーズの新刊が出てる!?!?」 バーナム効果であるあるがある (ヤングアニマルコ…

友人Kとの架空の別れ酒

「そーいえば、お前ってなんでM先輩と別れたんだっけ?」 酔いが回って思いついたままに長年の疑問を口にすると、Kは大げさにむせた。 「……ずいぶんと昔の話を掘り返しますねぇ?」 「さあて、自業自得じゃないですかね」 「今でもS子先輩に未練タラタラな誰…

ガルパンはいいぞ

ガルパンはいいぞ

虚構の生徒会

生徒会というシステムは、責任の所在をあいまいにするためのクッションである。例えば生徒のあいさつや身だしなみ、そういった終局的な解決が不可能か著しく困難である事項こそが生徒会の仕事とされる。そして、解決できない場合の責任を負う者は事実上存在…

2年前のメモ「PCを捨てよ、部屋から出よう」

非日常的、ないし非現実的な出来事が起こるには、その余地がなければならない。日常が「自分」や「既知」、「習慣」だけに満たされていては、ハプニングは起こり得ない。 例えば、生活環境が大きく変わるには、安定が欠けなければならない。両親の不在、土地…

3年前のメモ「告白とは、どんな形にせよ、究極的には友好関係の破壊である」

友情で結ばれた関係に一方的に恋愛感情を持ちこむのは、それがいくら“純愛”として美談であっても、友情に対する裏切りだと思う。これは兄妹ないし姉弟(擬似的なものも含む)でも当てはまろう。その発想に立った時、恋愛における悲劇とはロミオとジュリエット…

短評 #1

※1本140字程度でレビュー 1.『Bye -INTEGRAL-』(トラウムブルグ7番地) それぞれに傷を抱えた登場人物たちが、半人前の幸せを持ち寄って一人前の幸せをつかもうとする、生と死を見つめた大作。とことん暗い境遇と展開を通して、日常に埋もれる淡い優しい光を…

1年前のメモによる鑑賞感想文と注釈

時たま、「もう恋なんてしないにょろ」*1が無性に聴きたくなる夜がある。でもそうすると、鶴屋さんが頭の中で延々と歌い続けて眠れなくなってしまう。そのせいか、オリジナルのキーが思い出せなくなってしまったし、そもそも原曲に違和感を覚える始末である…

S子先輩との架空の帰り道 その2

「……“愛”と“恋”の違い?」 今までの文脈をガン無視したその質問に、案の定、S子先輩は怪訝な顔をした。 「昔……そう、高2の春ですね。クラスの女子にいきなりメールで聞かれたんですよ」 「なんでそんなこと覚えてんの?」 「覚えてるというか、今ふっと思い…

ピカルディの未解決 【ホワルバ再考 #1】

『WHITE ALBUM 2~coda~』における冬馬かずさと北原春希の関係は、アニメ版『シスター・プリンセス』における咲耶と航の関係に少し似ている。 咲耶が「お兄様ラブよ」と臆面もなく言えるのは、航がそれを正面から受け取らないとわかっているからだ。もし航…

finale,そして大団円

月並みな話、「人生を変えた一冊」という大層なものを聞かれた時は何と答えるだろうか。真面目に、少し格好つけて答えるなら、アンドレ・ジッドの『狭き門』。もしくは、10年ほど前に読み、青春時代を村山由佳に費やすきっかけになった『おいしいコーヒーの…

架空じゃない帰り道

茜色というのは、イメージしていたよりもだいぶ暗い色のことを指すらしい。陽が沈む前の夕映えではなく、陽が沈んで夜の帳が下りる直前の赤*1。勘違いしていたほうを何色と呼ぶかはわからないけれども、段々と茜色へと移り変わってゆくグラデーションは、掛…

N先生との架空の禅問答

「愛ってなんですかね?」 二人で飲んでいてなんとなく思いついた質問に、N先生は意外そうな顔をした。 「急にどうした。S子となんかあったのか?」 「んな大昔の話を蒸し返さないでくださいよ。いい加減吹っ切れましたし、今現在僕の身辺が綺麗サッパリなの…

わかりやすいダブル・スチールのサイン

一番好きな川原作品を聞かれると、『笑う大天使』シリーズ*1が真っ先に出てくる。コミックス版2巻までの本編とそれを踏まえての短編3作は、設定やストーリーなど何をとっても素晴らしい。というか、川原教授にドハマりした要因が『笑う大天使』なので、「…

ワタシにとっての川原泉

ブログ名の「架空の森」は、漫画家・川原泉教授の短編のタイトルから拝借している*1。川原作品のタイトル一覧を眺めて決めたため、タイトルそれ自体に深い意味があるわけではない。一読者として教授にあやかりたいだけというだけである。 それなのにお恥ずか…

1年前のメモによる、S子先輩との架空の帰り道

「最近なんかないの?」 S子先輩のありふれた質問がやけに残酷に響くのは、自業自得なのでもうあきらめた。 「ぜんっぜん、ありませんよ!」 おかげさまで。 「……といつもなら言うところなんですが」 「おっ!おっ!」 「ご期待通りの話ではないんですけど、…

陳腐な「はじめまして」に代えて

手元の辞書で「陳腐」を引くと、「古臭いこと。ありふれていて、つまらないこと」と出る。なるほどその通りなのであるが、「ありふれていて、つまらない」とまで言われる「古臭いこと」は、それだけ繰り返されてきたということでもある。つまり、オリビエ・…