書かねばならぬ、今朝の夢のことを。中二病的な発想から逃れるために。または、いまだにくすぶっている感情に決着をつけるために。 夢を言語化するという作業は実に難しい。夢という非構造的なものに言語という構造を与えるから。言語的に掬える部分だけは何…
村山由佳先生 突然のお手紙で大変失礼いたします。 14歳の時『キスまでの距離』を読んで以来、由佳先生の大ファンを自任している者です。先日出版された『ミルク・アンド・ハニー』を拝読し、衝動に身を任せて手紙を書き始めました。*1 「自分自身の体験を書…
せっかくWHITEL ALBUM2 EXTENDED EDITIONを買ったというのに、「はじめから」のボタンすら押せていない。もう半年以上経っている。 今回はとりあえず思いついた2点について忘れないように書き残しておく。 1 冬馬かずさは「WHITE ALBUM」を歌わない 「WHIT…
今日において日記とは、決して読まれたくないものであると同時に、いつかは誰かの目に触れることを期待して書かれるものである。 誰かに読んでほしい内容であれば、ツイッターやブログ等で公開すればよい。逆に、誰にも読まれたくないのであれば、そもそも書…
唐突だが、私は月ノ美兎委員長が大好きだ。 いままで見たことのある「バーチャルYouTuber」の中でも、一人でしゃべり続けることが格段に上手い。それに加え、話すだけで面白いエピソードに事欠かない。「過去の切り売り」*1はラジオ系媒体ではありふれた手法…
再読の喜びは同じ本で何度も違う味が楽しめることにある。その意味で、奈須きのこ『空の境界』ほど再読に適した作品を私は知らない。 そもそも、あの本を一周目で「読んだ」と言えるほど理解できる人間がこの世にどれほどいるのだ。人物像も世界観も時系列も…
懐かしいと思った。 人との関わりを厭う主人公と、余命幾ばくもない、明るく積極的なヒロイン。主人公を連れまわすヒロインに、やれやれと付き合う主人公。ノベルゲーにはまっていたゼロ年代の終わりを思い出す。あるいは、一番多感だった中学生のころに読ん…
どうして僕たちは、発狂もせずに日曜の夜を過ごし、 月曜の朝に仕事へ向かうのだろう。 夕食を片付け、サプリ2錠を水で流し込む。 昨日から久々に触っている恋姫の萌将伝。 学生時代、あれほど泣きゲー・シナリオゲーを誉めそやしておきながら、 このシリー…
友人との待ち合わせにはまだ早い。時間つぶしのために立ち寄った某書店。検索端末になんとなく「カハワライズミ」と打ち込んだのは神の思し召しか。 「えっ、『〜がある』シリーズの新刊が出てる!?!?」 バーナム効果であるあるがある (ヤングアニマルコ…
「そーいえば、お前ってなんでM先輩と別れたんだっけ?」 酔いが回って思いついたままに長年の疑問を口にすると、Kは大げさにむせた。 「……ずいぶんと昔の話を掘り返しますねぇ?」 「さあて、自業自得じゃないですかね」 「今でもS子先輩に未練タラタラな誰…
ガルパンはいいぞ
生徒会というシステムは、責任の所在をあいまいにするためのクッションである。例えば生徒のあいさつや身だしなみ、そういった終局的な解決が不可能か著しく困難である事項こそが生徒会の仕事とされる。そして、解決できない場合の責任を負う者は事実上存在…
非日常的、ないし非現実的な出来事が起こるには、その余地がなければならない。日常が「自分」や「既知」、「習慣」だけに満たされていては、ハプニングは起こり得ない。 例えば、生活環境が大きく変わるには、安定が欠けなければならない。両親の不在、土地…
友情で結ばれた関係に一方的に恋愛感情を持ちこむのは、それがいくら“純愛”として美談であっても、友情に対する裏切りだと思う。これは兄妹ないし姉弟(擬似的なものも含む)でも当てはまろう。その発想に立った時、恋愛における悲劇とはロミオとジュリエット…
※1本140字程度でレビュー 1.『Bye -INTEGRAL-』(トラウムブルグ7番地) それぞれに傷を抱えた登場人物たちが、半人前の幸せを持ち寄って一人前の幸せをつかもうとする、生と死を見つめた大作。とことん暗い境遇と展開を通して、日常に埋もれる淡い優しい光を…
時たま、「もう恋なんてしないにょろ」*1が無性に聴きたくなる夜がある。でもそうすると、鶴屋さんが頭の中で延々と歌い続けて眠れなくなってしまう。そのせいか、オリジナルのキーが思い出せなくなってしまったし、そもそも原曲に違和感を覚える始末である…
「……“愛”と“恋”の違い?」 今までの文脈をガン無視したその質問に、案の定、S子先輩は怪訝な顔をした。 「昔……そう、高2の春ですね。クラスの女子にいきなりメールで聞かれたんですよ」 「なんでそんなこと覚えてんの?」 「覚えてるというか、今ふっと思い…
『WHITE ALBUM 2~coda~』における冬馬かずさと北原春希の関係は、アニメ版『シスター・プリンセス』における咲耶と航の関係に少し似ている。 咲耶が「お兄様ラブよ」と臆面もなく言えるのは、航がそれを正面から受け取らないとわかっているからだ。もし航…
月並みな話、「人生を変えた一冊」という大層なものを聞かれた時は何と答えるだろうか。真面目に、少し格好つけて答えるなら、アンドレ・ジッドの『狭き門』。もしくは、10年ほど前に読み、青春時代を村山由佳に費やすきっかけになった『おいしいコーヒーの…
茜色というのは、イメージしていたよりもだいぶ暗い色のことを指すらしい。陽が沈む前の夕映えではなく、陽が沈んで夜の帳が下りる直前の赤*1。勘違いしていたほうを何色と呼ぶかはわからないけれども、段々と茜色へと移り変わってゆくグラデーションは、掛…
「愛ってなんですかね?」 二人で飲んでいてなんとなく思いついた質問に、N先生は意外そうな顔をした。 「急にどうした。S子となんかあったのか?」 「んな大昔の話を蒸し返さないでくださいよ。いい加減吹っ切れましたし、今現在僕の身辺が綺麗サッパリなの…
一番好きな川原作品を聞かれると、『笑う大天使』シリーズ*1が真っ先に出てくる。コミックス版2巻までの本編とそれを踏まえての短編3作は、設定やストーリーなど何をとっても素晴らしい。というか、川原教授にドハマりした要因が『笑う大天使』なので、「…
ブログ名の「架空の森」は、漫画家・川原泉教授の短編のタイトルから拝借している*1。川原作品のタイトル一覧を眺めて決めたため、タイトルそれ自体に深い意味があるわけではない。一読者として教授にあやかりたいだけというだけである。 それなのにお恥ずか…
「最近なんかないの?」 S子先輩のありふれた質問がやけに残酷に響くのは、自業自得なのでもうあきらめた。 「ぜんっぜん、ありませんよ!」 おかげさまで。 「……といつもなら言うところなんですが」 「おっ!おっ!」 「ご期待通りの話ではないんですけど、…
手元の辞書で「陳腐」を引くと、「古臭いこと。ありふれていて、つまらないこと」と出る。なるほどその通りなのであるが、「ありふれていて、つまらない」とまで言われる「古臭いこと」は、それだけ繰り返されてきたということでもある。つまり、オリビエ・…